2004.8.4執筆
私には海の男とかロマンとか日本男児とかはわからないので、「超面白い! 絶賛!」とまでは言えないけれども、お薦めできる本です。少なくとも『十五少年漂流記』よりは面白いと思いました。暇つぶしに少しずつ読むつもりだったけど、休日の今日一気に読んじゃいました。クーラーのない部屋で汗だくになりながら読みましたよ。いやぁ夏の読書ってかくあるべきだよね。
タイトル通り、無人島に漂着した十六人の男たちのサバイバルライフを描いたものですが、ハラハラドキドキワクワクの冒険物語ではありません。語り口は淡々としていて、ひたすら昔話をしているといった感じ。ぶっちゃけ、文章や表現が上手いとは感じません。が、それゆえに熱い。熱いです。正直、これだけのネタがあれば相当面白い物語が書けたと思うんだけど……そうしなかったところにむしろ好感を持ちました。余計な装飾や無駄に凝った表現がないためか、登場人物たちの辛さに裏打ちされた明るさ(=強さ)がストレートに伝わってきます。
素直に「生きるっていいなぁ」と思える良作です。ひねくれ者の私でさえそう思えたんだから。マジお薦め。
また、普通とは違う観点から見ても面白い一冊。読書感想文のネタとしてもお薦めできます。人間の尊厳、民族、動物との心の交流、人間と他の生物の命の重さの違い、海と島の生態、自然の美しさ、教育のあり方etc……。これだけシンプルな話でありながら、ざっと思い返すだけでもこれだけの観点を列挙することができます。このうちどれか1つに絞って何か書くと面白いかもしれません。私は書かないけどヽ(´ー`)ノ
参考文献:
須川邦彦『無人島に生きる十六人』新潮文庫,2003